第24回 新大川市議会議長は議長としての自覚あるか?
今年6月26日西日本新聞社説のタイトルは、「議長と議会改革――先導役担う自覚あるか」であった。
その中で、社説は言う。
<全ての議会が住民との距離を縮めなければならない。その先頭に立つのは議長である。
ーーー重責を担う自覚を求めたい。すぐに取り組むべきは議会の問題点を洗い出し、住民の関心を引き付ける方策を打ち出すことだ。
―――多数会派の議員で議長ポストをたらい回しにする議会―――議長の意思より会派の意向が優先されかねない。これでは、議長の存在感が希薄になるのも当然だ。
―――2000年からの議会改革を振り返ると、議長のリーダーシップが推進力になった事例がある。>
「がんばれ!大川」では、今年5月9日の追記「尊敬される議長に」というタイトルで、新たに決まった新議長への希望と期待を綴った。
その後、市議会・一般質問は、6月議会と9月議会の2回が開催されたが、新議長の司会進行は、市民の期待に沿うものであっただろうか?
もうすぐ12月議会が始まる。
議長には、全ての議員から信頼される議事進行をして頂きたい。
6月議会と9月議会で、新議長のもと「大川の駅」に関する一般質問をしたのは、のべ12名であった。(6月議会で7名、9月議会で5名)
遠藤議長は、令和2年9月、暴力事件に関する永島守議員辞職勧告議案が提出された時、反対投票をして暴力側の立場を取った議員である。
また、自分も同様に暴力側の議員によって選ばれた議長である。
こういった背景のもとではあるが、議長になったからには、議長の使命として、不偏不党の、公平で民主的な司会進行が行われなければならない。
今年度の12名による「大川の駅」問題に関する一般質問に対し、議長采配が市民の求める公平妥当なものであったか、今後の市議会、大川市発展のために注目してみよう。
下の表は、議会開会中の一般質問者と議長の采配とについて、1~5の点からまとめたものである。
1.質問者氏名
2.R2議会暴力議員辞職への賛否
3.「大川の駅」への立場
4.R5議会における問題発言の有・無
5.それに対するR5議会における遠藤議長采配の有・無
R5 大川市議会
遠藤議長の采配
(表4)
① 議会 | ②質問者 | ③ R2議会 暴力議員 辞職 への賛否 | ④大川駅 への立場 | ⑤R5議会に おける問題発言の 有・無 | ⑥R5議会 発言中に おける議長采配の 有・無 |
2023 6月 | 1. 宮埼稔子 | 反対 | 賛成 (宮崎) | 特になし | 無 |
2.西田学 | 賛成 | 反対 (西田) | 特になし | 有 <不適切発言ありとして取り上げ、休憩し→後で処置する> として議会を再開 | |
3. 内藤栄治 | 賛成 | 反対 (内藤) | 特になし | 無 | |
4. 永島幸夫 | 賛成 | 反対(永島幸夫) | 特になし | 無 | |
5.筬島 かおる | 反対 | 賛成 (筬島) | 特になし | 無 | |
6.龍誠一 | 賛成 | 反対 (龍) | 特になし | 無 | |
7.永島守 | 投票権無し | 賛成 (永島守) | 有 <経験の浅い議員の批判的発言は許されない>等の非民主的発言をする | 無 | |
2023 9月 | 1. 永島幸夫 | 賛成 | 反対(永島幸夫) | 特になし | 無 |
2.永島守 | 投票権なし | 賛成(永島守) | 有 反対意見への<一部議員らの無意味な議論は、即時に終止符を打つべき>等の非民主的発言をする | 無 | |
3.龍誠一 | 賛成 | 反対 (龍) | 特になし | 有 <質問の意図が不明確、及び質問が通告外として>2度指摘する | |
4. 内藤栄治 | 賛成 | 反対 (内藤) | 特になし | 有 <基本計画についての質問に仮定の話には答えられない>と執行部寄りの発言をする | |
5.西田学 | 賛成 | 反対 (西田) | 特になし | 有 <6月議会と同じ質問をしているとし執行部の回答を理解したか>と発言する |
【この表このから分かること】
- (1)R2に「暴力議員辞職勧告案」に反対し暴力を許した議員が、議員歴8期30年の古参暴力議員を筆頭に、全員「大川の駅」へ賛成していること。
- (2)その中の議員の一人であった新議長は、R5の新たな議会で、「大川の駅」賛成意見に問題点があるにも関わらず、2度も指摘・訂正指導なく、スルーしていること。
- (3)それに反して、「大川の駅」反対意見へは、小さなことも見逃さず、議長としての発言を躊躇していないことがわかる。
まず、新議長が、問題あるにも関わらずスルーした2度の「大川の駅」賛成意見について、その問題点をもう一度、確認してみよう。
これは、(2023.6)と(2023.9)の本稿で取り上げたものだ。
1度目(2023.6) スルー
―――――――――――――――――――――
<永島守議員の一般質問6月>
「私は長年にわたって議会に参画させて頂きました。昨日今日、まだまだ経験の浅い議員さんが(「大川の駅」事業の)批判をされておられますけれども、軽々しくこの本会議場でこのような発言をするのは、いかがなものか、
そのような発言は決して許される発言ではないと思っております。
このことを私はしっかりと心に刻みながら、今後に備えて参りたい。」
この発言の問題性について、本稿では、かつてこう記した。
「反対意見を抑圧する、こういう時代錯誤で非民主的意見が議会で普通に出ることは、非常識であり、議会の健全さが疑われる。・・・
議長は、不偏不党の立場で議会運営をし、自由な討論が保証される、健全な議会を育てる責任があるのではないか。
ここで、議長が、『ただ今の言辞は、自由な討論の場である議会においては不適当でありますから、一部取り消しをお願いします。』と正せば、次第に健全な議会が育っていくのであろうが、それもない。
・・・これでは、まっとうな議会は育たない。議会進行に対する議長の責任は大きいのではないか。」
2度目(2023.9)スルー
―――――――――――――――――――――
<永島守議員・一般質問9月>
「知識・経験を欠いた議員による悪しき情報拡散が残念な結果を招いている。」
「一部議員らの故意情報拡散や無意味な議論は、時間の浪費――即時に終止符を打つべき」
これに対し、本稿は次のように述べている。
「経験を振りかざして、経験の少ない議員の声を圧殺しようとするのは、自由な議論による公正で民主的な議会を抑圧するものだ。
反対意見にかつて暴力を見舞った永島守議員。議会においても、反対意見は言わせないとばかりのようだ。
この議員の、これらの発言は、近代議会の常識に、外れている。
民主的な議会における議論は、礼節をわきまえた自由な発言の上に成り立つものだ。
こういう、議会の議論を封殺するかのような発言は止めて頂きたい。」
議長は、前回に引き継き、今回で2度、この種の発言に対する注意及び修正勧告をスルーした。
8期30年の議員歴をタテに、ほしいままに非民主的発言する議員に対し、それを許す議長は、議長と言えるのだろうか。
まもなく12月議会が始まる。3度目のスルーはあり得ない。もしもあれば、偏った采配の確信犯である。
せっかく議長になられたのだから、公明正大、情理に富んだ、温かみのある優れた采配で議員を心服させ、討論によって健全な議会を育て、大川の議会史に残るような名議長になってほしい。
表4を見れば分かるとおり、過去2回の議会で、「大川の駅」についての一般質問では、新議長が何かと指摘するのは、今のところ、暴力議員辞職勧告案に賛成した、「大川の駅」反対の議員に対してである。
次の項では、新議長が厳しい采配をした「大川の駅」反対意見の指摘内容を取り上げてみよう。
第25回に続く 2023.11.30 更新