第24回 大川市議会議長は議長としての自覚あるか?
今年6月26日西日本新聞社説のタイトルは、「議長と議会改革――先導役担う自覚あるか」であった。
社説は言う。
<全ての議会が住民との距離を縮めなければならない。その先頭に立つのは議長である。
ーーー重責を担う自覚を求めたい。すぐに取り組むべきは議会の問題点を洗い出し、住民の関心を引き付ける方策を打ち出すことだ。
―――多数会派の議員で議長ポストをたらい回しにする議会―――議長の意思より会派の意向が優先されかねない。これでは、議長の存在感が希薄になるのも当然だ。
―――2000年からの議会改革を振り返ると、議長のリーダーシップが推進力になった事例がある。>
「がんばれ!大川」では、今年5月9日の追記「尊敬される議長に」というタイトルで、新たに決まった新議長への希望と期待を綴った。
その後、市議会・一般質問は、6月議会と9月議会の2回が開催されたが、新議長の司会進行は、市民の期待に沿うものであっただろうか?
もうすぐ12月議会が始まる。
議長には、全ての議員から信頼される議事進行をして頂きたい。
6月議会と9月議会で、新議長のもと「大川の駅」に関する一般質問をしたのは、のべ12名であった。(6月議会で7名、9月議会で5名)
遠藤議長は、令和2年9月、暴力事件に関する永島守議員辞職勧告議案が提出された時、反対投票をして暴力側を守る立場を取った議員である。
また、自分も同様に暴力側の議員によって選ばれた議長である。
こういった背景のもとではあるが、議長になったからには、議長の使命として、不偏不党の、公平で民主的な司会進行が行われなければならない。
今年度の12名による「大川の駅」問題に関する一般質問に対し、議長采配が市民の求める公平妥当なものであったか、今後の市議会、大川市発展のために注目してみよう。
下の表は、議会開会中の一般質問者と議長の采配とについて、1~4の点からまとめたものである。
1.質問者氏名
2.「大川の駅」への立場
3.6月・9月議会質問における問題発言の有・無
4.それに対する遠藤議長采配の有・無
R5 大川市議会
遠藤議長の采配
(表4)
① 質問者 | ② 大川駅 への立場 | ③ 6月・9月議会に おける 問題発言の有・無 | ④それに 対する 議長采配 の有・無 |
6月議会 1. 宮崎 稔子 | 賛成 | 特になし | 無 |
2. 筬島 かおる | 特になし | 無 | |
3. 永島 守 | 有 <経験の浅い議員が 批判的発言をするのは 許されない>等の 問題発言 | 無 | |
4. 西田 学 | 反対 | 特になし | 有 <不適切発言有りとして取り上げ 休憩>、 その後、 議会再開。 |
5. 内藤 栄治 | 特になし | 無 | |
6. 永島 幸夫 | 特になし | 無 | |
7. 龍 誠一 | 特になし | 無 | |
9月議会 1. 永島 守 | 賛成 | 有 反対意見へ の<無意味 な議論は、即時に終止符を>等の問題発言 | 無 |
2. 永島 幸夫 | 反対 | 特になし | 無 |
3. 龍 誠一 | 特になし | 有 <質問意図が不明確> 及び <質問が通告外>と 2度指摘。 | |
4. 内藤 栄治 | 特になし | 有 <基本計画についての 質問に仮定の話には 答えられない>と執行部寄りの発言。 | |
5. 西田 学 | 特になし | 有 <6月議会と同じ質問をしている>が、<執行部の回答を理解したか>と発言。 |
【この表このから分かること】
R2に「暴力議員辞職勧告案」に反対し暴力を許した議員が、議員歴8期30年の古参暴力議員を筆頭に、全員「大川の駅」へ賛成していることを前提にこの表を見ると、
(1)問題発言が「特になし」だった質問者に対し、議長采配が「無」は、当然であるが、
問題発言が「特になし」だった質問者に対し、議長采配が「有」、
またはその逆で、
問題発言が「有」だった質問者に対し、議長采配が「無」であるのは、検討の必要があること。
(2)暴力擁護議員の一人であった新議長は、6月議会と9月議会で、問題のある「大川の駅」賛成意見に対し、2度も指摘・訂正・指導なく、スルーしていること。
(3)それに反して、「大川の駅」反対意見へは、問題とも思えない小さなことに、議長としての発言を躊躇していないこと。
まず、新議長が、問題あるにも関わらずスルーした2度の「大川の駅」賛成意見について、その問題点をもう一度、確認してみよう。
これは、(2023.6)と(2023.9)の本稿ですでに取り上げているものだ。
1度目(2023.6) スルー
―――――――――――――――――――――
<永島守議員の一般質問6月>
「私は長年にわたって議会に参画させて頂きました。昨日今日、まだまだ経験の浅い議員さんが(「大川の駅」事業の)批判をされておられますけれども、軽々しくこの本会議場でこのような発言をするのは、いかがなものか、
そのような発言は決して許される発言ではないと思っております。
このことを私はしっかりと心に刻みながら、今後に備えて参りたい。」
この発言の問題性について、本稿では、かつてこう記した。
「反対意見を抑圧する、こういう時代錯誤で非民主的意見が議会で普通に出ることは、非常識であり、議会の健全さが疑われる。・・・
議長は、不偏不党の立場で議会運営をし、自由な討論を保証する、健全な議会を育てる責任があるのではないか。
ここで、議長が、『ただ今の言辞は、自由な討論の場であるべき議会においては不適当でありますから、一部取り消しをお願いします。』と正せば、次第に健全な議会が育っていくのであろうが、それもない。
・・・これでは、まっとうな議会は育たない。議会進行に対する議長の責任は大きいのではないか。」
2度目(2023.9)スルー
―――――――――――――――――――――
<永島守議員の一般質問9月>
「知識・経験を欠いた議員による悪しき情報拡散が残念な結果を招いている。」
「一部議員らの故意情報拡散や無意味な議論は、時間の浪費――即時に終止符を打つべき」
これに対し、本稿は次のように述べている。
「経験を振りかざして、経験の少ない議員の声を圧殺しようとするのは、自由な議論による公正で民主的な議会を抑圧するものだ。
反対意見の議員にかつて暴力を見舞った永島守議員。議会においても、反対意見は言わせないとばかりのようである。
この議員の、これらの発言は、近代議会の常識に、外れている。
民主的な議会における議論は、礼節をわきまえた自由な発言の上に成り立つものだ。
こういう、議会の議論を封殺するかのような発言は止めて頂きたい。」
議長は、前回に引き継き、今回で2度、この種の発言に対する注意及び修正勧告をスルーしている。
8期30年の議員歴をタテに、ほしいままに非民主的発言する議員に対し、それを許す議長は、議長と言えるのだろうか。
まもなく12月議会が始まる。3度目のスルーはあり得ない。もしもあれば、偏った采配の確信犯である。
せっかく議長になられたのだから、公明正大、情理に富んだ、温かみのある優れた采配で議員を心服させ、自由な討論によって健全な議会を育て、大川の議会史に残るような名議長になってほしい。
(表4)を見れば分かるとおり、過去2回の議会で、「大川の駅」についての一般質問では、新議長が何かと指摘するのは、今のところ、暴力議員辞職勧告案に賛成した、「大川の駅」反対の議員に対してである。
次の項では、新議長が厳しい采配をした「大川の駅」反対意見の指摘内容を取り上げてみよう。
第25回に続く 2023.11.30 更新
第25回 栗山町議会議長と大川市議会議長
2006年、北海道の栗山町議会は、全国初の議会基本条例を制定した。
わが国で初めて制定された画期的なこの条例は、議長のリーダーシップによって制定されたものだと言う。
小さな町の町議会、日本初めての議会基本条例の条文には、議会政治への理想と情熱、町民への愛と責任感があふれており、感動すら覚えさせられる。日本の議会史に残る見事なものだ。
その中心に据えられている特徴の一つは、「議員相互間の自由討議の推進」である。条文を見てみよう。
栗山町議会基本条例「前文」に言う。
<地方分権の時代を迎えて、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会は、自治体事務の立案、決定、執行評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議を通して、これら論点、争点を発見、公開することは討論の場である議会の第一の使命である>
第2章
「議員の活動原則」に言う
<議員は、議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。>
第5章「自由討議の拡大」(自由討議による合意形成)に言う
1.<議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議長は、町長などに対する本会議などへの出席要請を必要最低限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。>
2.<議会は、審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。>
以上、日本の「議会基本条例」の嚆矢たる栗山町の議会基本条例が、「議員相互間の自由討議」にいかに重きを置いているか、その熱意が伝わってくる条文の文言である。
議会で、自由討議が封殺されるのは、議会の死を意味する。
以後、この栗山市の素晴らしい議会基本条例は、全国の議会改革の起点となり、現在は全国54%、965の自治体が議会基本条例を定めた。
大川市も、遅れること12年、2018年に定めている。大川市の条例が、栗山町の議会基本条例を下敷きにして作られたものだということは一読すればわかる。
大川市における議会基本条例の「議員相互間の自由討議」に関する部分を見てみよう。
【大川市議会基本条例】
第4条「議員の活動原則」
<議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。>
大川市の議会基本条例の場合、自由討議について書かれているのは、この1か所だけである。平板な表現である。だが、確かに書いてある。
表現の重軽は別として、問題は、議会の生命を決するこの「自由討議」が、大川市議会で十分に生かされているかどうかである。
大川市では、前回述べたように、8期30年の古参暴力議員によって、「自由討議」を抑圧するような発言が行われた時、議長による「発言の訂正や取り消し」というあるべきリーダーシップはなされないまま沈黙し、スルーされてしまった。
栗山町では、議長がリーダーシップを取り、祈るような思いで全国初の条例の中に、「自由討議」の文言を力を込めて繰り返し盛り込んだ。
それから17年。進化されて行くはずの民主主義は、大川市議会ではいったいどうなっているのだろうか?
議会を生かすのも殺すのも議長。
議会を育てるのも、育てないのも議長。
議長の責任はとても大きい。
栗山町議会議長と大川市議会議長。
歴史に残る栗山町議会基本条例の情熱溢れる高らかな宣言を思う時、わが大川市議会議長にもその責任の大きさを自覚し、「自由討議」に命を張った司会進行を願いたいのである。
次回は、大川市議会における、「大川の駅」問題に反対の議員の方への議長采配を見てみよう。
第26回に続く 2023.12.6更新
第26回 市議会議長の采配を問う(1)
令和5年度12月議会が始まりました。その一般質問の内容は別途まとめるとして、私たちが今、注目している議長采配もこれで3度目の議会です。
第24回では、新議長が、問題あるにも関わらずスルーした2度の「大川の駅」賛成意見について、その問題点を確認しました。
今回は、新議長が厳しい采配をしたこれまでの「大川の駅」反対意見の内容を見てみましょう。
「大川の駅」に関する反対意見、6月議会4名、9月議会4名、のべ8名のうち、議長によって発言者に何らかの指摘があったのは、3名4回に対してでした。
6月議会:1.西田議員に対して
9月議会:2.龍議員に対して
3.内藤議員に対して
4.西田議員に対して
です。
6月議会
「本当のことは後から分かるという言葉」
①<西田議員に対して遠藤議長の采配>
(状況)西田議員は、<「大川の駅」の場所がたった1回の経営会議(H27.10)で大野島に決定したことについて、民主的でないと言う立場から、どこでいつ決定したのか質問した。それに対する橋本副市長の回答が十分に納得できるものでなかったことによって、質疑は次のように進展した。
【西田議員】
「わかりました。私は「本当のことは後からわかる」という言葉が好きです。」
【橋本副市長】
(怒って、)「私の答弁が間違っているように取れるような発言でしたので訂正をお願いしたいと思います。」
【西田議員】
「そういう格言もあります、好きだと言う事実をいっているのです。訂正しません。」
この時、―――遠藤議長
「ちょっと、暫時休憩致します。先ほどの西田議員の質問の中に、一部不適切と思われる発言がありましたので、議長において後刻、記録を調査し適切に処置することと致します。」
・・・再開後、議長と西田議員の間で、相当、混乱した。
【西田議員】
「先ほどのことですが、あの発言がどうして問題発言なのですか?だれかが怒ればすぐ問題発言にするのなら、怒ったが勝ちですね。怒って訂正求める人がいたら、すぐ問題発言にするのなら、誰でも怒ればいいことになりますよ。」
西田議員は、先の発言が問題発言となる理由を問うているのだが、
―――遠藤議長
遠藤議長は、西田議員の再開後の指摘の意図が呑み込めていないらしく、前言の「先ほどの西田議員の質問の中に、一部不適切と思われる発言がありましたので、議長において後刻、記録を調査し適切に処置すると、・・・」を何度も硬直的に繰り返すだけで、話は進まない。
ここは、西田議員は、好きな格言を口にしたまでであって、深く考えても、「副市長が本当のことを言っている」のか、「言っていない」のか、後でわかると言う意味ぐらいまでのことである。
橋本副市長は、訂正しろ等と言ってまで怒らずともよかった。
さらに、議長はそれをそのまま一方的に引き受けて、西田発言を「不適切発言」にし、「暫時休憩」→「後刻調査・処置」とまでする必要はなかった。
議長は、西田議員の話をよく聞き、話の核心を公平虚心に捕らえ、橋本副市長に対して、「西田議員は、本当のことは後でわかると言っているだけで、どっちがどうだとまで言っている訳ではないので、<後で、副市長の答弁が本当だったと分かるかも知れません。次に進めます。>」と言えば、丸く収まり、時間もエネルギーも浪費せずに、議会の雰囲気も悪くせず済んだのではないか。
休憩まで取って、「不適切発言」としたこの采配は、妥当なものだったかどうか。
これが、暴力議員の発言でも、そのような処置をとっただろうか。
議長がこれでは、安心して発言もできなくなる。
議会は議長によって育てられる。
一人の議員の発言の取り扱いの一つ一つが、あるべき議会育成の貴重なチャンスである。
見過ごせない議長采配である。
9月議会
「理解しましたか?」
②<遠藤議長は、続く9月議会でも西田議員に采配を振るっている。>
ーーー9月、西田議員の一般質問の最後に、遠藤議長が言う。
【遠藤議長】
「国道385号、国道442号沿線の商業開発について質問され、最後ご要望されました。でも、この件については、6月議会でも本議会と全く同じ回答が執行部からなされております。執行部の回答をご理解頂いたと思ってよろしいでしょうか?」
【西田議員】
「いや、少し違う側面から提案して質問しています。再度質問です。」
【遠藤議長】
「同じ回答であったと言うことは、理解されました?」
【西田議員】
「全く同じとは思っていません。都市計画プランに則ってします、というのが、6月の答えでした。ですから、これの中身を言って、もう少し作って下さい、と。」
【遠藤議長】
「(執行部は)開発の難しさを答えられたと思うのですが、その内容は理解できましたか?」
―――西田議員は違う角度から尋ね、進言したと言っているのだが、遠藤議長は、「執行部の答えは同じでそれを理解したか?」から動こうとせず、何度も繰り返し、この点を確認し続ける。
完全に両者は食い違っており、西田議員は、「理解したなら、もうこれ以上同じ質問はしないように、」と言う意味だと理解し、次のように述べる。
【西田議員】
「それは、おかしいですよ。大川をよくしようということで、質問をしているのですから、議長がそこで止めたり、発言するのはおかしいですよ。前向きな発言が台なしになってしまうではありませんか。」
【遠藤議長】
「止めている訳じゃない。理解しましたかとお聞きしているんです。」
【西田議員】
「理解しましたが、私の言うことも理解してもらいたいと思っています。お互いケンカじゃないんですから。話し合いをしているんですから。一方通行じゃないんですから。」
【遠藤議長】
「いや、僕はそういうことを言っているんじゃない。理解しましたかとお聞きしているだけです。」
【西田議員】
「理解していないなら、バカのようではないですか。」
【遠藤議長】
「じゃあ、理解されたと解釈していい訳ですね。」
遠藤議長は、「執行部の回答を理解しましたか?」という問いを7回繰り返し、そこから決して動かず、最後は西田議員の不愉快そうな「しましたよ。」で終わったが、西田議員の言いたいことは、そんなことではなかったのは誰が見ても明白である。
遠藤議長が言っているのは、
「あなたは同じ質問を2回していますが、執行部からの回答は同じです。理解出来ましたか?」(理解出来たら、もうこれ以上、同じ質問しないように。)
それに対し、
西田議員が言うのは、
「同じ質問ではなく、角度を変えて違う側面から提案し再質問しています。」(何度も質問しないようにというのは、おかしいのではありませんか。)
これでは西田議員は立つ瀬がない。
連続2回の、西田議員に対するこの円滑とは言えない議事進行の問題はどこにあるのだろうか?
遠藤議長の西田議員に対する2回の発言を見ていると、どうやら、遠藤議長は質問者の話を聞かず、自分の思ったことを繰り返し一方的に述べ、そこから動かないという傾向があることが分かる。
議長は、議会を実り多い価値あるものに育てたいのなら、まずは議員の発言に耳を傾け、その言わんとするところを聴くべきであろう。
ここでは、西田議員に、「2回とも同じ回答でしたが、理解しましたか?」と繰り返し言い続けるのではなく、
「角度を変えて違う側面から提案しているというのは、どのように角度を変えて質問されているのですか?」と訊くところである。
もしくは、「2回同じ質問をされたのは、どうしてですか?」と訊けばよい。
そうすれば、その後の展開は変わっていたのではないか。
議員の発言の意味を掴まないのでは、議長はスムーズな議事進行は望めず、無用のストレスを生むばかりでなく、議会本来の役割を果たせなくなる。
遠藤議長もまだ見えぬ長所もあることであろう。今後の柔軟な采配を期待し、議会が有益な討議の場となるよう願う。
この回で書ききれなかった9月議会、③「龍議員に対して」④「内藤議員に対して」の遠藤議長の指摘内容検討は、次回に記す。
第27回に続く 23.12.7更新
第27回 大川市議会議長の采配を問う(2)
第24回では、新議長がスルーした2度の永島守議員の問題発言を確認した。
第25回では、北海道・栗山町議会の全国初「議会基本条例」をもとに、議会における自由討議の重要さを考えた。
そして、
第26回では、新議長が厳しい采配をした6月・9月の「大川の駅」反対意見を2つを取り上げた。
今回は、9月議会における残りの反対意見、「龍議員に対して」と「内藤議員に対して」の、遠藤新議長の采配を見てみよう。
9月議会
「どんな時にも通告外宣言?」
③<龍議員に対する遠藤議長の采配>
龍議員が一般質問の最後に、「全然、違うことですが大川の方たちは、困ってある方がたくさんいらっしゃる。10月より3500品目も値上がりするようだし、もしも生活に困った方が出て来るようであれば、早急に対策を立てて頂いて助けられるような流れ作りをお願いします。」と言った。その時ーーー、
【遠藤議長】
「龍議員、お願いはいいんですけれど、通告外になっておりますので。」
【龍議員】
もちろん通告外です。通告外ですけれども、あまりに困っていらっしゃる方が多いものですから、言葉を発させて頂いた次第です。
この遠藤議長の「通告外」宣言で、龍議員の発言は腰折れて一気に味気なくなってしまった。遠藤議長の「通告外」宣言は必要だったのだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・
<通告外宣言とは?>
そもそも、議会での一般質問の前に、質問者があらかじめ質問内容を通告しておく「質問通告」は、法に定められたルールではなく、必ずなされるべきものでもない。
通告がない質問は国会においても、決して珍しくない。全部通告して全部答えが分かっているなら、すべて質問主意書にすればよく、そもそも質疑などやる必要がないと言われる。
細かい予算の細目などを質問する場合は議会の時間的制約もあり、当然、通告すべきであるけれども、基本的な内容の質問などに対して、「通告がないので発言しないようにとか、通告がないので答えられないとか」は、あり得ないと言われている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ましてや、ここでは緊急な「お願い」である。
龍議員に対する遠藤議長のこの「通告外」宣言は失当であり、龍議員の困った方たちへの熱い思いに水を差すものである他、何の意味があっただろうか。
「通告外」宣言には、今後、注意してほしい。不必要な「通告外」宣言は、自由討議を後退させ議会を息苦しく硬直したものにする。
9月議会
「基本計画は仮定の話、仮定の話には答えられない?」
④<内藤議員に対する遠藤議長の采配>
ーー内藤議員が、<「大川の駅」のお金について>で、「基本計画ではレストランの年間想定入場者数を100万人としてあるが、その22%がレストラン利用とすると、1か月では22万利用、1か月の稼働日を平均25日とすると1日当たり約700人の来客になる。レストランに一日、700人も来て対応できるのかと質問した。
【森副市長】
それは基礎調査にあるように、近隣の道の駅の来店者数の平均から予想算出しています。
あまりにも1日当たりの来店予想数が多いので、それで対応できるのですかと尋ねています。
――この時、【遠藤議長】が発言
「ちょっと、内藤議員、内藤議員の発言もなかなか想像の域を逸してない部分もありますから、仮定の話には答えられないと思いますよ。」
【内藤議員】
仮定じゃありませんよ。「基本計画」に出されている数字から考えているんです。
―――【遠藤議長】、また発言。
「それは、調査上の数字、と執行部は重ね重ね言っているではありませんか。」
【内藤議員】
こういう計算はおかしいのではないですか、と言っているんです。
【岡主幹】
道の駅基本計画P25で、1日当たりの利用者について、どういう想定かが書かれております。
平日利用者数303人、休日利用者数1212人、対応できるスペースを準備することで、十分対応できると考えています。
【内藤議員】
休日利用者数1212人とは、700人よりもっと大きな数字ですね。
SPC(事業者)が赤字になったら、どうしますか?
【森副市長】
把握したタイミングでテコ入れします。
【内藤議員】
その場合、大川市と親会社のどちらが資本投入するのですか?
【森副市長】
仮定の話にどこまでお付き合いをするべきなのかと思い始めているのですが、総合的な観点から対策が施されるのだろうと思います。
【内藤議員】
仮定の話というけど、計画は全部、仮定の話でできているのではないですか?悪くなった場合のことも考えなければならない。その時はどう考えているのかと言っているのです。
【森副市長】
確かに、こういった計画はすべて仮定に基づいているので、不適切なところがあり、申し訳なかったと思います。・・・
この森市長の発言で、遠藤議長の先の二つの発言が適切でなかったことが、ハッキリした。
もともと、遠藤議長のこの二つの発言はやや意味不明で、質問者に質問をこれ以上させない方向へと誘導する効果を持ったものでしかない。
この遠藤議長の発言は、例えば相手が暴力議員に対しても、同じように発言されたのだろうか。
こういった議長発言がどれくらい発言者にマイナスの負荷をかけるか、自分が発言者の場合、こういう議長発言があったら、どれくらいイヤな思いをするか、立場を変えて考えてみればわかる。
遠藤議長が見識ある真の議長になることを望み、今後、汚名を残したくなければ、議長として発言する時いつも、「私はこれを暴力議員に対しても言うだろうか?」と胸の内で呟いてみるとよい。
そして、「暴力議員に対しても言う」と思い、自ら議長として良心に恥じないことを確認した後、発言して貰いたいものだ。
このような議長采配は、議会に常に無用なさざ波を立て、発言の健全な機能を低下させていく。その証拠に、議会は真面目な質問に対する議長の発言により、しばしば、ささくれた雰囲気になる。
思い出そう!全国初、北海道・栗山町の掲げた「議会基本条例」の理想に満ちた条文を!
「議会は議員による討論の広場であることを十分に認識し、議長は議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。」
前任の議長もこうだったのであろうか?
いつから大川市の議長はこうなのだろうか?
過去の議会の記録を遡って、議長采配の歴史を確認してみたいものだ。
議長は、不偏不党、公明正大でなければならない。
伸びゆく街の議会には優れた議長が存在する。
議長はすべての議員に対し平等に司会進行を進めなければならない。当たり前のことだ。
今回、森副市長の正直な答弁に大川市議会は救われた。
令和5年度6月議会と9月議会における遠藤議長の発言を検討し、
「行なわれるべきであった二つの発言」と「行われるべきでなかった四つの采配」、
「<大川の駅>賛成・暴力議員へ」と「<大川の駅>反対・反暴力議員へ」、
「二つのスルー。4つの采配。」の問題性を提起する。
第28回に続く 2023.12.9更新