第15回
6月議会「大川の駅」
<反対意見は許さない>というイレズミ暴力議員とそれを正さない議長
6月22日―23日、6月定例議会において一般質問がありました。
今回の議会の中心的な問題は、「大川の駅」「大川リビルディング事業」でした。
質問議員9名の内、7名がこの問題を取り上げました。
今回はこの問題に絞り、どんな質疑があり、何が明確になったか、また問題に思った点などを報告したいと思います。(以下敬称略)
☆「大川の駅」計画に賛成の立場から質問したのは次の議員でした。
1.宮崎稔子(令和2年の暴力議員辞職勧告決議案に反対した公明党議員)
2.筬島かおる(令和2年の暴力議員辞職勧告決議案に率先して反対した議員)
3.永島守(令和2年の暴力議員辞職勧告該当議員)
☆「大川の駅」計画に反対の立場から質問したのは次の議員でした。
1.西田学
2.内藤栄治
3.永島幸夫
4.龍誠一
(以上4議員、いずれも、令和2年の暴力議員辞職勧告決議案に賛成した議員)
令和2年の暴力議員辞職勧告決議の時の賛成派と反対派が、「大川の駅」問題で同じ形で、賛成と反対の二つに分かれています。
まず、賛成の立場の意見から見てみましょう。
1.宮崎稔子
「大川の駅」「大川リビルディング事業」に期待するとして、その経済効果、事業の内容などを質問したが、
市長・副市長の回答は、理念と情熱が伝わってくるものの、データに基づく確実性のある経済効果、事業内容は、現時点において明確なものはなく、ほぼこれからの状態であることが明らかにされた。
その後、自分なりの大川活性化の提言があったが、その態度は、丁寧で節度があり、自由な言論と民主主義を重んじる議会人として、好感の持てるものであった。
2.筬島かおる
「大川の駅」賛成を鮮明にして来たことを述べ、市民は反対の意見が多かったが、それは情報不足にためだと思えるので、この事業で何をどうするのか個別的、具体的な市長の見解を求めると質問したが、
述べられた回答は具体的なものというより、ほぼ「大川の駅」に対する思いの深さであった。
その質問態度は、相手が連帯の市長であるゆえ、前回のような傲慢不遜な態度はなかった。
専門的知識の必要な分野でもなかったので、原稿読みの引っ掛かりも少なかった。
そして、「広く市民の意見を聞き入れ、柔軟に政策を変更するような、住民の参加意識を高めるようなことが必要だろうと思います。」と言ったことは、よかった。
ただ、付け加えるならば、今回の選挙で自分の票を減らした原因に触れた時、「<大川の駅>に賛成したことが一因」としたが、
みんなが知っているもっと大きな他の原因、自分の「議員としての無責任・無神経・高慢さ」に光が当って票を減らしたことへの、反省の弁が少しでもあったら、もっと良かった。
また、それによって、議会の品位を落とし、議会への信頼を損なったことを、多少なりとも議会に詫びれば、もっとよかった。
さらに、質問の最後に「大川市に明るい未来が来ることを願いまして」と言うなら、その前に大川信用金庫におけるような自分の言動が、今現在、いかに大川を暗くしているかを反省すれば、もっと良かった。
3.永島 守
「大川の駅」賛成。特に質問らしい質問なし。この大事業の1日も早い開業を願っていることを強調し、この事業について多くの方々に理解して頂きたいとする一方、反対議員に対して次のように述べた。
「他人の政策や行政を批判することは簡単であります。大川の駅を止めて焼却炉を据えろと言う意見があったが、このようなお分かり頂けない批判的な方々には、しっかりと自分自身の政策を唱えて行きたい。
「私は長年にわたって議会に参画させて頂きました。昨日今日、まだまだ経験の浅い議員さんが批判をされておられますけれども、軽々しくこの本会議場でこのような発言をするのは、いかがなものか、そのような発言は決して許される発言ではないと思っております。このことを私はしっかりと心に刻みながら、今後に備えて参りたい。」
ここで取り上げられている焼却炉設置の意見は、その理由もきちんと述べ、陳述態度も紳士的で、市を想う一つの意見として、聴いていて特に問題はなかった。
にもかかわらず、自分の意見とは違う反対意見に対し、「軽々しくこの本会議場でーーーそのような発言は決して許される発言ではない」と言うのは、
自由な討論の保証されるべき議会で、自分の意見に反対の意見を封殺しようとする、抑圧的、非民主的な言辞であり、異なる意見に対する恫喝のようなものに思えた。
この議員が全身にイレズミを彫り、かつて反対意見を述べた議員に対し、暴力を振るった暴行罪の経歴を持つ議員の言葉であることを皆、知っている。
それを思えば、この言葉は、「私は何十年も議員やっているんだ。このごろ議員になったばかりの者が、何言っている。反対意見は許さんぞ。覚えとくから見ていろ。」と聞こえても不思議ではない。
いずれにしろ、議会において、礼儀を踏まえて、きちんとした態度で陳述された意見に対し、「許されない」とは、あり得ない。議会で反対意見は許さないというのである。
議員は誰でも自分の意見を堂々と議会で述べることが出来るのは常識である。
それが出来ない議会は、議会とは言えない。
ある意見に問題があるなら、その意見の誤謬性をさらなる意見で明確にすることが議会の使命ではないのか。
そうすることによって、議会は大川市にとって、必要な確かな道を指し示すことができる。
反対意見を抑圧する、こういう時代錯誤で非民主的意見が議会で普通に出ることは、非常識であり、議会の健全さが疑われる。「大川の駅」賛成派には、こんな人がいるとして、むしろマイナスに思える。新しい副市長さんは驚かれたろう。
是々非々、堂々と意見対意見を戦わせる、筋の通った真っ当な大川市議会にあってほしい。
人は常に過つものであり、今後注意してほしいが、こういう時、議会を正しく導くのが議長の役目である。
ここで、「ただ今の言辞は、自由な討論の場である議会においては不適当でありますから、一部取り消しをお願いします。」と議長が正せば、次第に健全な議会が育っていくのであろうが、それもない。
議長は、不偏不党の立場で議会運営をし、自由な討論が保証される、健全な議会を育てる責任があるのではないか。
このままでは大川市議会は、モノも言いにくい議会風土をさらに醸成していき、ひいては大川市の未来を誤って導きかねないと危惧される。議会関係者の善処をお願いしたい。
(まとめ)
「大川の駅」構想は、とても素晴らしい。市長の情熱、意欲もまた、素晴らしい。市長は大川市を思い、大川市のために、よく頑張ってあると思う。
本当にこれが実現し、年間100万の人が来市し、人・もの・お金が動き、活性化された元気な大川市になったら、どんなに嬉しいだろう。
しかし、莫大な事業費を注ぎ込んだ「大川の駅」が、もし失敗し、閑古鳥のなくような駅になったら大変である。
こんなに小さな市、それも人口減の、税収もままならぬ大川市の予算で、建物部分だけで50億、それ以外に用地購入費、軟弱地盤対策工事費、維持管理運営費ほか途方もない税金を投入し、
それを返済していくだけの利益は上がるのか、本当に成功するのか、大丈夫なのかと、市民は心配している。夕張市を始め失敗した例はいくらでもある。
失敗したら大川市は赤字再建団体に転落し、予算の自主編成権は無くなり、市の施策はすべてストップ、
水道料金、軽自動車税、施設利用料なども1.5倍~3倍になり、市民生活は大混乱する。
夕張市は夕張炭鉱の斜陽化から抜け出そうと、観光に重点を切り替え、市が主体となってスキー場やホテルを建設し歳出増となったが、見込んでいたほど収益がなく、財政悪化して破綻した。
大川市の「大川の駅」は、そうは決してならないということを、データでもって納得させてほしいと市民は思っている。
賛成議員の3人の質問も、市長はじめ執行部の答弁も、情熱は伝わり、共感するところもあるが、「大川の駅」に諸手を上げて賛成するには、納得できるためのデータが、今だ少なかった。
市長は、予算を本格的に執行する前に、一日も早くデータを出し、市民を納得させてほしい。
第16回に続く 2023.7.28 更新
【いまだ父と母ありし日々】
歌 龍喜代子 ピアノ 大崎絹子
1.いまだ父と母ありし日々
空は青く光りみちて
幼き友の ほほえみうるわし
小さな弁当 開きし野原に
甘くかおる草の香
悲しみを知らぬ日々
そは遠く はるけき時の
はるけき時の 時のむこう
2.いまだ父と母ありし日々
小川の岸 揺れる葦の葉
一筋光る 銀の魚の群れ
時を忘れて 友と駆けた
弾む息に 清き鼓動
苦しみを知らぬ日々
そは遠く はるけき時の
はるけき時の 波のむこう
3.いまだ父と母ありし日々
赤い夕陽 稲刈り田んぼ
家に待つ母 ひと日の終わり
鉄橋渡る 長い列車
汽笛を鳴らし 遠ざかる
恐れを知らぬ日々
そは遠く はるけき時の
はるけき時の 山のむこう
(昭和20年代の大川市・筑後川・昇開橋を
バックにした歌です。)
第16回
6月議会「大川の駅」
執行部答弁:ほとんど
<わかりません>
次に反対の立場の議員質問を見てみよう。
個別の質問について、まとめながら紹介する。
1.西田 学
(質問)
「大川の駅」維持管理運営費はいくらぐらいかかりますか。
(答弁)
分かっておりません。
(質問)
「大川の駅」軟弱地盤対策の工事費はいくら位かかりますか。
(答弁)
算出できていません。
(質問)
「大川の駅」調整地はどれくらいの広さですか。
(答弁)
決まっていません。
(質問)
参加したいと手を挙げている民間企業は今のところ0(ゼロ)だそうだが、本当に来てくれるのですか。
(答弁)
努力しているところです。
(意見)
大川の焼却炉はあと10年ぐらいのようですが、このままで大丈夫ですか。
柳川市・みやま市の共同焼却炉は70億円かかったらしいが、この問題を始め、大川の駅を取り止めて緊急に取り組まねば、手遅れになる課題があるのではないでしょうか。
*全体として
経費の全体像、総事業費などが分からない状態で、こんな大事業を始めていいのか、との立場での質問であった。議員の質問態度は議会人として穏当あった。
2.内藤栄治
「土盛り費用」(基礎工事部分)「地盤改良費」(軟弱地盤対策)など、まだ分からないという執行部の回答に対して、
(質問)
「事業計画を立てる時に、だいたい総予算を分かって進めるものではないですか。」
(答弁)
「約50億としているので、行き当たりばったりでは、ありません。」
(質問)
「50億は、建物だけのことでしょう。」
(答弁)
「計画的にやっています。」
(質問)
「全体について、大枠もないのですか?」
(答弁)
「見込みが難しく、段階的にしていくということです。」
(質問)
「建物の50億にしても、3年前の基本方針の数字でしょう。それから(資材等)物価上昇して1.5倍になっているとすれば、70億になりますが、それを考えてありますか?
(答弁)
「わかりません。」
(質問)
「基本計画で行けば、年間利用100万人、レジ通過率28.1%、年間売り上げ3億4720万円、粗利が30%として1億円、これで、運営できますか?
大川市の手出し部分はどれくらいと考えていますか?
(答弁)
わかりません。
(質問)
大川の焼却炉はあと10年も、もたない。大阪の焼却炉は40~50億かかったそうだが、そこで、お土産も売り、観光客がたくさん来るという。このような地に足の着いたものが、よかったのではないか。夢と願望はわかります。しかし財政的に本当に大丈夫でしょうか。
(答弁)
今こそ環有明で頑張って行かなければと思っていることを理解してほしい。
*全体として
財政的にうまくいくのか数字を求めたが、執行部の回答は、「まだ、分からない。」が多かった。
説明が十分でなく、納得できないという市民の声が多いのも理解できる。議員の質問態度は、議会人として穏当であった。
3.永島幸夫
(質問)
「大川の駅整備振興事業費」の予算執行状況はどうなっていますか?
(答弁)
民間活力導入検討調査業務:2386万円
物件調査業務:836万円
モノづくり振興拠点づくり業務:297万円
用地測量業務:131万円
PR看板:121万円
コンサルティング業務5月分:68万円
不動産鑑定業務:49万円
など約3800万円を執行。
(質問)
業務の進行状況はどうなっていますか?
(答弁)
[ハード面]:用地取得のための調査・測量などを行い、今年度中、軟弱地盤対策の設計、および用地取得を予定している。
[ソフト面]:事業者募集の準備を進めている。
(質問)
地質調査の手法はどういう手法ですか?
(答弁)
4か所のボーリング調査を行う。7月上旬に業者が決定する。
(質問)
ボーリング調査の後の流れは、どうなっていますか?
(答弁)
その後、今年度、地盤対策設計+用地の取得完了→来年度、地盤対策工事となっています。
*全体として
「大川の駅整備振興」の予算執行状況および現時点における取り組みの状況が明らかにされた。
少なくない税金が順次、執行され、業務は進捗しているようである。
地盤対策工事の内容・費用はまだ明らかでなく、今年度ハッキリなる。用地の取得も今年度、完了する予定との執行部答弁である。議員の質問態度は、議会人として穏当であった。
4.龍 誠一
(質問)
「道の駅」の話題が出たのはいつですか。誰が言い出してどういう経過をたどりましたか。
(答弁)
H27経営会議で方針が決定された。それ以前は一度も上がっていません。
(質問)
「道の駅」に防災拠点機能は考えられていますか。
(答弁)
考えている。
(質問)
盛り土は、どこから持ってくるのですか。そのためのダンプは台数としてどれくらいと考えられていますか。
(答弁)
決まっていないが、どこからか持ってくる。台数は算定していない。
(質問)
民家への軟弱地盤に関する振動被害への対策はありますか。
(答弁)
なるべく被害がないようにしたい。
(質問)
ダンプによる振動被害をどのように考えていますか。
(答弁)
なるべく被害がないようにしたい。
(質問)
船着場を作るとして、佐賀・諸富漁業組合は賛成しているのですか。
(答弁)
今年度、説明したいと考えている。
(質問)
年間100万人の来客とあるが、都市圏と同じ算出の仕方でいいのですかか。
(答弁)
十分達成できる。
(質問)
大野島インターが混雑した場合、道は細く回り道もなく、花火大会でも数時間渋滞するが、どう考えているのですか。
(答弁)
大野島インターが混雑した場合、う回路も考えなければと思っている。
(意見)
「市民の方の多くは、「大川の駅」を大野島にするのは理解できない、納得いく説明がない、と言われています。
課題が山積みの「大川の駅」ですが、どんな案件でも片寄ると必ず苦情を招きます。急がず一旦、立ち止まって全体を見直すべきだと考えます。
反対される市民の皆様のご意見を聞かれて事を進められる方が、良い結果が出るのが早いと考えるからです。
*全体として
防災拠点機能対策、盛り土、盛り土軟弱地盤対策およびそれに関する振動被害対策、ダンプによる振動被害対策、船着場造成、う回路対策、年間100万人の来客の実現は可能かなど、多くの課題が浮かび上がった。
一般に50億と言われる事業予算は、「大川の駅」の建物部分だけであり、その他、膨大な費用が必要なことが分かる。
議員の質問は、公平であり極めて説得力があった。質問態度は、情理に富み、議会人の鏡である。
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(まとめ)
6月定例議会の質問の議員の持ち時間は1時間。
筋の通った反対意見を述べるには、調査・研究など、並々ならぬ真摯な努力が必要だ。反対の質問は、よく議員の本分を尽くし、市民の不安を代弁している。
大きい事業を成功させようと思うなら、反対意見はあった方がいい。反対の中に、気づかぬ問題点が潜んでいるものである。よく耳を傾けて、それを取り込んで、出来るなら成功してほしい。
執行部は、議員の求めるデータを市民の前に納得いくまで示し、「わかりました、そういうことなら、賛成です。」と言わしめるほどのデータを示してほしい。
本当に成功する事業なら、それが出来るはずだ。失敗は許されない。夕張市の例を見ても、失敗したら、市民は地獄である。
第17回に続く 2023.7.31更新
第17回R5.9月議会「大川の駅」賛成意見