第17回
深まりに欠ける9月議会・「大川の駅」賛成意見
9月7-8日大川市議会一般質問が行われました。
6月議会に引き続き、「大川の駅」についての意見に注目します。
賛成意見は、永島守議員1名、反対意見は、永島幸夫議員、龍誠一議員、内藤栄治議員、西田学議員の4名でした。
賛成意見から見てみましょう。
永島 守
【発言1】
「地方議会の役割は批判ばかりではない。後世への政策に対し協力・推進し、やり遂げることも必要。今は、それが『大川の駅』」事業である。」
前回同様、この事業への思いを熱く語る。事業の必要性の理由として挙げるのは、次の点であった。
(1)大川市における年間500名の人口減
(2)それによる市の経済の縮小
(3)大川市のインテリア関連業界の伸び悩み常態化
(4)新たな税収産業への取り組みが見られないこと
*この4点は納得がいき、事業への気持ちも分かるが、だからといって、それと、「大川の駅」事業が成功するかどうかとは、問題は別であろう。
莫大な費用を注ぎ込む「大川の駅」事業が本当に成功するなら、うれしいが、問題はその事業の詳細がいまだ不明で、成功できるか不安であるという点である。
成功するために必要なのは、まずは議会でとことん議論を尽くすこと。反対議員および市民を納得させるデータを示し、疑問に答え、安心させることが必要である。
熱意と思いだけで、納得させるデータが提出されないのでは、市民が不安に思うのも無理はない。
【発言2】
「大川の駅」事業に対する一部議員らの誤った情報拡散・無意味な議論は即止めよ。
永島守議員は、この点について、繰り返し触れているが、その実際の言辞は次のようなものであった。
〇「知識・経験を欠いた議員による悪しき情報拡散が残念な結果を招いている。」
〇「一部議員らの故意情報拡散や無意味な議論は、時間の浪費―――即時に終止符を打つべき」
〇「批判は簡単です。しかし政策というのは、即に浮かんで来るものではございません。長年の経験や先人たちを引き継ぐ強い思いの中から新たな政策も生まれて来る訳でありまして」
*これらの言葉には、疑問を禁じ得ない。反対意見への説明もない否定はいかがかなものか。
「悪しき情報」「無意味な議論」とは何か?それらに対して、いっさい説明がない。
普通は、自分と違う意見に、説明もなく、一方的にこういった否定的表現はしないものだ。
内容をハッキリさせることもなく、説明をせずして理由なく否定するのは、議会における発言として、非常識。片寄った考えの持ち主と受け取られ、信頼を失うだけである。
「大川の駅」事業に賛成の議員は、説明もなく一方的に反対意見を否定するだけの、片寄った非常識な人たちと思われれば、人物やその言葉、ひいては「大川の駅」事業そのものまで、信頼を失いかねない。
*若輩はモノを言うなと言わんばかり、である。
自分は当選8回、最長老。自分以外はほとんど若輩。
しかし、初めて議員になった人や当選回数の少ない人の方が、新鮮な目でよく見えることもある。
これまでの習慣にとらわれない新しい創造的な発想をすることもある。
大任町や長生村のように、逆に当選回数の多い議員が非常識な問題を起こしているのもよくあることだ。
どちらがどうだということではなくても、「経験」を振りかざして、経験の少ない議員の声を圧殺しようとするのは、自由な議論による公正で民主的な議会を抑圧するものだ。
立派な人は、こんな言動はしない。立派な人物は、反対意見にデータを挙げて、理由を述べ堂々と説得する。
聞いた人は、誠にそうだと納得し、議論は熟し、議論に実りをもたらす。
反対意見にかつて暴力を見舞った永島守議員。
議会においても、反対意見は言わせないとばかりのようだ。
この議員の、これらの発言は、近代議会の常識に、外れている。民主的な議会における議論は、礼節をわきまえた自由な発言の上に成り立つものだ。こういう、議会の議論を封殺するかのような発言は止めて頂きたい。大川市議会に黒歴史を作る。
*同じ賛成派の議員の方々も、これらの発言の問題性に気づいているに違いない。
「自分の意見に反対した」という理由で、かつて、この議員が暴力事件を起こして議員勧告決議案を出された時、決議案は6-7で葬り去られたことを思い出す。
しかし、今思えば、その葬りさった仲間の方々が、心からこの議員に心服しているとも思えない。心の中では、こんな発言の不条理を分かっていて、眉をひそめ、面従腹背しているだけなのであろう。
それにしても、8期当選、最長老のイレズミ暴力議員を怖がって、議員が正義を曲げるなら、大川市議会はどんどん曲がって行く。市民は泣く。心の中では、眉をひそめている議員の皆さんの良心の力で、そろそろ、風通しの良い、節度ある、自由で民主的な議会の本道に戻されては、どうだろうか。
*当の議員本人にしても、
過去イレズミ入れていても、現在、立派な人はいくらでもいる訳で、それは別にして、暴力や暴言、威圧・抑圧に頼らない、品位ある議員、本当に心から尊敬される議会人を目指されてはどうか。議員としてのルールや態度を議員誕生の頃から誰も教えなかったのだろうか。議会人としての常識ある態度を身につければ、この人は、今からでも立派な議会人になるかも知れない。
しかし、仮に今後も、こんな発言をし続ければ、「大川の駅」に賛成する議員は、横紙破り(自分の意見を無理に押し通すこと。常識や習慣にはずれたことを平気ですること。また,そのような人。)だと思われて、「大川の駅」事業そのものの足を、さらに引っ張って行くだろう。悪い発言態度は、発言内容まで悪印象を及ぼす。
*議長の対応も問題ではないか。
「一部議員らのー無意味な議論は、時間の浪費ー即時に終止符を打つべき」という、議会における議論を封殺するような発言に、議長の対応が何もないのは、どういうことだろうか?
誠実に行われている議論に対する、このような発言は、現に慎まなければならないが、一方で議長は公正な議論が出来るように進行しなければならない。
先に問題にした長生村の議長は、暴力問題で3度の辞職勧告を受け、最後はやっと辞任したが、その時、同僚議員からこんなことを言われている。
「今、村のどこへ行っても、誰に聞いても、『早く辞めさせてくれ』と言われます。傷害事件を起こしたことはもちろんですが、村会議長としてこれまで公正中立でなかったことも問題視されています。」(「デイリー新潮」)
前回に引き継き、今回で議長は2度、発言に対するこの種の注意及び修正勧告をスルーした。これでは、まっとうな議会は育たない。議会進行に対する議長の責任は大きいのではないか。
議長の進行を今後みんなで、注目していこう。
【発言3】
「大川の駅」事業に対して、行政はどのような具体策をお持ちか市長に伺いたい。
(市長回答)
「『大川の駅』を拠点とした情報発信の場、人と金の呼び込み、大川の活性化、環有明経済圏のシンボル、となるようにしたいと思っている。具体的にはこれからですが。」
*市長、前回に引き続き、夢を語る。その態度は真摯で礼儀正しく、応援したくさせるものがある。市長は、大川を愛している。「大川の駅」事業は本気であると思わせられる。
ただ、思いは抽象的であり、具体性は、これからである。市長の夢は応援したくなる一方で、「大川の駅」事業は、本当に成功するのか、失敗は許されない、市民は心配になる。データを示してほしい。
【発言4】
特別委員会であった予算関係について森副市長に再度この場で説明願いたい。
(副市長回答)
*森副市長は、予算関係についてと言うより、主に次の3点について述べた。
(1)「大川の駅」事業の目的、『環有明海経済圏の構築』が大きな理念でピンと来ず、市民に伝わっていないのではないか。それよりもまず一番の目的は、基幹産業であるインテリア産業の振興が前提であり、目的としては、この活性化を第一にアピールしていく必要があるのではないか。
(2)「大川の駅」という名称は、物産のイメージで、<インテリア産業の振興>とリンクしていないのではないか。
(3)東京を初め全国にまだあまり知られていない「大川家具」の他にない魅力を対消費者に向けてどう遡求していくかが求められているのではないか。
*これらの意見は、「大川の駅」事業、賛成・反対を別に、客観的で大変、同感できるものであった。
「大川の駅」事業の大目的として「環有明海経済圏の構築」という理念はあるが、理念自体、抽象的で分かりにくい。進めている行政も、賛成の議員も、みんな、よくわかっていないのではないか。よくわからない人から聞いても、聞いた人はよく分からない。
「木工大川」を原点にして進めていくというのは、当たり前のようで、先行する理念の陰になって、どこか霞んだ感があった。ここを事業の第1目的としてPR上、明確化されれば、事業のイメージは分かりやすくなる。
「大川の駅」事業は、建設費・事業費などよく分からないことが多いが、他にも市民が分からないと思う原因の一つに、こういうところがあったようである。基本に戻る冷静な指摘であった。
【まとめ】
信頼性を欠く賛成意見
賛成意見が納得できるまでに至らなかったのは、今回も熱意と思いに終わり、説得力のあるデータがなかったこと。
さらに、賛成意見を陳述する議員の態度に、他者の意見を封殺するような言辞があり信頼を減じさせたこと。
賛成意見が信頼を欠き、やろうとしていることはピンと来ないでは、賛成しようにも出来なくなる。
賛成意見を広げたいなら、品位ある公正・民主的な態度で考えを説明・陳述をすることである。
今回、森副市長による「環有明海経済圏の構築」という抽象的な目標についての指摘があった。冷静で客観的、的確な指摘である。
また、議長も議員も、節度ある民主的議会を育てていかなければ、議会に対する市民の信頼そのものが失われ、議会の存在理由に疑問符がつく。
「大川の駅」事業に対する賛成意見の熱意と思いは分かるが、これまでの「大川の駅」事業に関する論議の範囲を出ておらず、深まりに欠ける一方、議員の発言や議長の進行には、6月議会と同様、問題の残る一般質問であったと言えよう。
第18回に続く 2023.9.17更新
第18回
9月議会「大川の駅」
地道な質問・良識派
良識派の質問を見てみましょう。
永島幸夫
<質問1>
事業者公募の進捗状況はどうか?
荒尾市の「道の駅」が設計・建設・管理・運営を民間に委託する方式で、昨年、事業者を公募したが、応募者がなく再公募したとの新聞報道があった。大川市は9月本契約を締結するということであったが、進捗状況は、どうか。
(以下市長回答)
①事業公募について
事業公募に向けて、民間事業者グループの事業提案に求める水準などを規定する「要求水準書案」の骨子の作成に取り組んでいる。
骨子の作成後、民間事業者との最後のサウンディング調査を行い、「要求水準書案」を作成したい。その後、来年1月下旬頃の事業公募の予定である。
②ハード整備について
不動産鑑定、用地測量、物件調査を終えて、用地交渉に着手。地盤対策設計業務については、委託事業者が決定されている。
③事業手法について
現時点においては決定していないが、「要求水準書」公表の目途である10月下旬~11月初旬までには決定する。
<質問2>
地盤対策事業者の入札応募業者数、決定業者名、所在地、金額をお答え下さい。
(以下推進課主幹回答)
7月3日入札期限までに3社の入札があり、7月4日開札で、筑後市の(株)建設技術センターの落札決定。
契約金額は2,167万円です。
<質問3>
入札業者の内、大川市の業者はありましたか。
(回答)
ありません。
<質問4>
地盤対策の内容はどういうものですか。
(回答)
- ①地質調査(ボーリング試験・土質調査)
- ②解析調査(軟弱地盤の技術的解析、地盤対策候補の検討)
- ③設計業務
となっており、現在、①の「ボーリング試験」が3か所実施済みで、②の「解析調査」を行っている。
【まとめ】
「大川の駅」事業の進捗状況、地盤対策事業者名などが明らかにされた。
このように、事業の進捗状況や地盤対策事業者名、契約金額などが明らかにされることは、事業目的と内容の周知、公正な事業完遂のために市にとって意義あることである。
これからも、この事業を進める限りは、共同損失がないよう、事業の詳細を可能な限り市民に知らせて頂くよう要望する。
誠実、丁寧、着実な質問態度であり、大川市議会になくてはならない、信頼度の高い議員に思えた。
第19回に続く 2023.9.20更新
第19回 9月議会
市民が納得していない
「大川の駅」良識派2
さらに「大川の駅」について良識派の意見に注目してみましょう。
龍 誠一
主に3つの質問がありました。その後、市民からの疑問などが出されました。
<1> 用地取得状況を説明して頂きたい。
(以下市長答弁)
午前中、永島幸夫議員に答えた通り、今年度中の用地取得を目指し、交渉に着手している。
<2> 基本計画時から実施計画では事業費が大幅増加しているが、原因と内わけを説明して頂きたい。
(答弁)全体で23億円の増加
*建築工事費 15億9千万円
(高付加価値や単価設定の低値化、資材高騰などで)
*土木工事費 6億4千万円
(敷地造成工の精査などで)
*設計費 7千万円
(これら工事費の増額に伴って)
<3> 用地取得や地盤対策、造成費の財源確保はできているか具体的に説明して下さい。
(答弁)3月議会で承認され、本年度の当初予算として執行中。
<4>その他・市民の疑問
①事業者は大川の事業者がいいと思うが、大川にありますか。
(森副市長答弁)
これから検討していく段階。
②九州「道の駅」ランキングで第1位の「うきは道の駅」は、レジ通過者43万人、
第2位の「むなかた道の駅」は、来場者が160万人、ということだが、現在、全国道の駅1209駅の3割が赤字に苦しんでいます。
「大川の駅」来場者数100万人の根拠は?
(森副市長答弁)
算出方式としては、開業時の「有明沿岸道路」の交通量✕(掛ける)NEXCO西日本のパーキング立寄り率を拡大したもの。
③市民の皆様が全然わからないと言っている、来場者100万人を達成する方法を説明して下さい。
(森副市長答弁)
魅力的な施設にするということに尽きる。
④市民の一番多い苦情は、「きちんとした説明もなしに事業を進めている」ということ。何の事業も着手以前に説明することが必要。説明があり、納得したことを確認して進めるものと思いますが、大川市民にきちんと説明されましたか?
(森副市長答弁)
いろんなところで説明している。また、賛成・反対の立場から議論を戦わせて多数決と言う形で間接民主主義が制度化されている。既に予算などは何度も議決され執行中で、正式に承認頂いていると理解している。
⑤盛り土工事はありますか?
当然あります。
⑥船着き場は作りますか?
整備して行きたい。
⑦干潟体験場は作りますか?
決定ではないが、何かしら設けたい。
(主幹答弁)
⑧展望場は作りますか?
確定している訳ではないが、「川町づくり」の中で、作り込みしたい。
【この後、議長の発言が入る。】
―「それらの質問は既に分かっていることで、質問の意図が分かりません。理由を付けて質問して頂きたい。」(議長)
――龍議員「納得されていない中で市はどうして進めるのか、という方が、とても多いので、市民から出た疑問を1個1個、質問している。インターネットを見る人も多いので、ネットを通じて分かればいいと思って質問している。それほど、納得されていない市民の方が多いということです。」と答えて質問を終わる。
【まとめ】
〇龍誠一議員は、「大川の駅」事業には反対の立場のようであるが、ただ片寄った反対をしている訳ではないようだ。龍議員は、一般質問冒頭、「最初に言っておきたいのですが、反対意見も、賛成意見もどちらの方向性でも、大川市がよくなるために質問されているようですので、そこは肝に銘じながら、どうぞ皆さまよろしくお願い致します。」と言って質問を始めた。
〇また、質問の中で、「事業を進める場合は、大川の公的負担を軽減するためにPFI方式(出店にかかる全てを民間の事業者に任せる方式)がよいと思うが、」と言っているように、反対だけでなく、事業を進める場合のことも考慮に入れながら、視野広く、賛成意見にも耳を傾け、大川市の損にならないようにするには、どうすれば、いいか、論理的に考えている。
〇態度や言葉遣いも丁寧で、市民の立場に立って、「大川の駅」が失敗しないよう、データを求めて質問していく真摯な議員の姿には、説得力があった。
〇「反対意見は許さぬ」「反対意見は即、止めよ」と言うような言葉は、森副議長の言う「賛成・反対の立場から議論を戦わせて多数決と言う形で間接民主主義が制度化されている。」ことと相いれないものだ。
龍誠一議員と賛成派との態度の違いは、信頼性の違いになる。龍議員の発言は、聞く者を信頼させる。
〇龍議員の質問によって、いくつかのことが明らかになり、さらに市民の多くが「大川の駅」事業に理解できないでいることが分かった。
〇賛成派からは、「大川の駅」事業に対して、熱意と思いは聞くが、それだけでなく、もともとは、賛成派からこそ、反対派のような質問が出て、周知と事業推進に一役買うのが本来の姿と思うが、賛成派は賛成というだけで、質問の一つも出ない。事業を成功させたければ、質問することによって、計画を補強・推進していくのが本当ではないか。
〇龍議員の一般質問は、聞きごたえのあるものであった。
第20回に続く 2023.9.21更新
第20回 9月議会
「大川の駅」お金はいくらかかる?
内藤栄治
【大川の駅」のお金について
大川市民の方から「大川の駅、あれはいかんよ、金がかかり過ぎ。」「もうからんとやろもん、ずっーと金ば出すとやろ。」という声が聞かれる。大川市民の不安の声を市民から負託された大川市議会議員として質問させて頂きます。
<議員の質問から分かったこと及び問題提起>
1.建物の総建築費が、基本計画で50億円だったものが、今回73億6600万円に上がった理由。
その理由は、①資材の高騰②内装・什器・備品などのグレードを上げたことによると市回答。
2.【開業までに必要で、現在、ある程度、明確な大川市持ち出し分】
「建物部分建築費」44億円+「土地代」1億8000万円=約46億円
(注1)「国県補助金は別に29億円」
3.【開業までに必要で、現在、不明確な大川市持ち出し分】
「地盤対策費」+「一次造成費」+「物件補償費」(宅地の上の建物などの補償費)などが必要。「地盤対策費」など、大川市の公募事業以外の支出全体は、現在は不明のまま。
事業の詳細決定が来年度なので、来年度当初予算作成時に分かると市回答。
4.【開業後に必要な、現在、ある程度、明確な大川市持ち出し分】
毎年、保全費・運用費8800万円(仮設定)、コンサルタント代(初年度取り合えず1回)2000万円など支出。
5.【開業後に必要な、現在、不明確な大川市持ち出し分】
維持管理費。(注2)
令和7年度の予算を来年度審議する時点で分かる、と市回答。
※投稿者注:これに、開業後の大川市の支出には、起債38億円の償還がある。
6.その他の問題も提起
〇レストラン・カフェは、執行部計画では、年間来場者数100万人、【平日】開業日年間245日、1日当たり利用者303人、【休日】開業日年間120日、1日あたり来店予定者数1212人と計算しているが、本当にこんなにも来るのか?ー可能と市回答
〇レストラン・カフェの施設使用料も年間1200万円、月100万円とあるが、こんなに払える業者はいるのか?ー可能と市回答
「大川の駅」事業に対して、特にお金の面で大川市の持ち出し分はいくらか、市民の方は大変心配してある。
また、開業後も相当な大川市の出費があることについて、知らない市民が多い。この部分についても、ハッキリ説明して、市民に覚悟させることが必要ではないかと問題提起して一般質問を終了。
(注)
今回、補助金額が明らかにされた。
補助金は、国県負担として、建物建築費73億6600万円のうちの18%(13億円)+市の起債54億円のうちの22%(16億円)が交付税措置分として明らかにされた。従って、合計40%(29億円)が国県からの補助金。大川市は、起債分38億円+一般財源から6億円=44億円(60%)の持ち出し支出となった。市は開業後、事業者より施設使用料・売り上げの一定額を納付金として納めて貰うが、建物建築費の60%(44億円)及び、建物建築費以外の支出は、全部市民の負担となる。施設使用料・売り上げ納付金は来場者数・利用者数に関係するので、一般質問では、その予想算出数の実現可能性が問われた。
(まとめ)
多くの大川市民が不安や疑問を持っていることが改めてわかった。
それもそうだろう。上記の一般質問で分かるように、「建物建築費」は上がる。「地盤対策費」などや「公募事業以外の部分」は、不明のままである。
多くの市民の不安や疑問について、時間をかけて準備をし、市民に代わって質問がされた。
今回、国県の補助金部分も市民に明らかになった。
この議員は、反対の立場と言うが、ただ反対のための反対をしている訳ではない。開業したとして、その後、大川市の損にならないようにするには、という発想からも質問をした。
事業を進めるに当たっては、最終的結果は、すべて市民が受けねばならない「大川の駅」事業。考えさせられる指摘も多かった意義ある一般質問であった。
分からない、分からないと言っている市民にあって、賛成派からは、一つの質問もない上に、こういった多角的な質問を「無意味な議論は、時間の浪費―――即時に終止符を打つべき」と言うのは、いったい、どういうことだろう?言う方が間違っていることは明らかである。
賛成派も、市民のことを考えるなら、質問の一つもあるべきではないか。
市民のために、市議の本分を尽くされている確かな議員として大切にしたいものである。
第21回に続く 2023.9.24更新
第21回 9月議会
疑問多い「大川の駅」
西田 学
(一般質問)
①<議論されないまま進んでいる「民間事業用地」>
「大川の駅」計画が、十分議論されないまま市によって進められているのではないかという市民の疑問を踏まえて、次のような質問がされた。
(質問)「みちの駅」の南側にある「民間事業用地」については、6月議会で大川市整備推進協議会やその中の検討部会で「十分議論されている」という回答でしたが、議論された具体的な日時や内容を教えて下さい。
(答弁)森副市長:「議論の具体的な日時や内容はお答えできませんが、整備推進協議会の審議を経て、市として決定。同協議会の検討部会においても、議論されたと承知しています。
(再質問)議員が直接、検討部会に尋ねた答えは、「議論していない」という答えでした。
「民間事業用地」については、12月議会では、「大川の駅ではありません」という回答がされており、大川の駅かどうかもはっきりしていません。
「民間事業用地」が、「大川の駅」に入るためには、整備推進協議会及び検討部会の承認を得る必要がありますが、承認を得ているなら、議事録を見せて下さい。また、基本計画には一言も触れられていません。それはなぜですか?
(答弁)「民間事業用地」は、民間主導でやるので、別のプロセスになり、基本計画に入っておりません。(検討部会の答え・議事録に触れず)
【解説】
★整備推進協議会及び検討部会の具体的な日時や内容は答えず、議事録を見せると言う言葉もなく、「議論されたと承知している」という森副議長の答え。それに対し、「検討部会は議論していない」という明確な検討部会の答え。
さらに、民間主導であっても、「民間事業用地」が、「大川の駅」における市の公募であり、市との契約によって成立して進められるものなら、基本計画に「民間事業用地」という言葉が1か所もないとは、首をかしげざるを得ない。
当然されるべき整備推進協議会及び検討部会の承認を得る議論もほぼされないままであることから、基本計画に載せなかったと考えるのが自然のようにも思われる。
議論していないことを「議論されたと承知している」として進められ、議論の記録もなく、市議もよく分からない「民間事業用地」。こういう不明確な進め方も、「大川の駅」全体への不安感を増し、市民の多くが分からない、分からないと言う理由の一つであろう。
②<誰もが思っているーー「大川の駅」、どうして大野島?>
大野島に決定した経緯が不明であるとの市民の不安から次のような質問がされた。
(質問)「大川の駅の場所を大野島にするということは、H27.10の経営会議で決定したということでしたが、1回の会議で決まったのですか?」
(答弁)それ以前には協議されていません。
【解説】
★「大川の駅」の場所は、1回の会議で決まったというのである。
設置場所をどこにするかは大問題である。常識的には回を重ねて慎重に協議・検討されるのが普通であろう。多くの市民が疑問を持っているように、この答弁にも、やはり違和感が残る。
この場所決定の経緯も、市民が不信感を持つ理由の一つであろう。西田議員にお願いします。経営会議のメンバーの氏名を質問してくれないでしょうか?インターネット議会で見ています。
③<老朽化していく公共施設をどうする?>
膨大な経費の掛かる「大川の駅」だが、その前にしなければならないことがあるのではないかという市民の疑問から、次の質問をした。
(質問)総合計画の【行政における課題】の中に、<公共施設の老朽化・改修に、解決すべき課題が山積しています>とあります。具体的な公共施設と解決策を教えて下さい。
(答弁)S40~50年代に整備された築30年を越える公共施設が半数以上を占めていることから、今後、大規模改修や建替えなどの大きな波が到来し、多くの財政負担が生じることが見込まれているところです。
このため、本市ではH29.3月に「大川市公共施設等総合管理計画」を作成し、今後想定される人口減少やそれに伴う財政規模の縮小を前提に、基本的な考え方や取り組み方針を定めたところです。
公共施設について売却などの処分を行なうと共に、「大川の駅」の整備、市営住宅や市庁舎の改修などを計画しているところです。
【解説】
★今後、大規模改修や建替えなどの大きな波が到来し、多くの財政負担が生じることが見込まれているーーとある。
★大川市の財政状況の解決策が、「大川の駅」であり、万が一にも失敗は許されないことがわかる。成功すればいいが、失敗となると、大川市には大惨事が待っている。進めるのであれば、絶対成功してほしいが、説明が乏しいので、市民は不安に思っている。
④<「大川の駅」事業は採算が取れるのか?>
市民が一番心配していることを質問した。
(質問)「大川の駅」利用者数は年間100万人、施設設備費73億8900万円に対して、年間売り上げ総額7億6000万円、施設使用料4500万円と想定してあるが、施設使用料の4500万円は売上高に対して6%弱にあたる。粗利で経営している民間にとって施設利用料として売上高の6%は高い数字です。民間企業は参入に躊躇するかも知れません。
売上高7億6000万円、これは、大川市の年間商品販売額最新H28年度1100億円で算出すれば0.76%にすぎず、低すぎます。その低すぎる売上高の基準となる「大川の駅」利用者数を、100万人と設定していますが、100万人来場だけでも、そんなに多く来るのか疑問なほど高い数字に思えます。その高い数字を基にした年間売上高が、これほど低いものなら、費用対効果が低過ぎないでしょうか?
事業の採算は大丈夫でしょうか?
(市長答弁)年間来場者100万人は控えめな数字と思っています。
【解説】
この市長答弁は、市民の最も確認したい点であり、記憶しておきたい。
⑤<反対ばかりでなく代替案を何度も言って来た>
(1)国道385号・442号の沿線の商業開発
(2)三丸工業団地に「道の駅」を。昇開橋に「川の駅」を。
(3)小保の下水処理場として確保している用地に「大川の駅」を。
などと言って来ました。「道の駅」を作ることに反対している訳ではありません。(土地代・土地改良代等、膨大な費用がかかり、採算が危ぶまれる)「場所」に疑問を持っています。
【解説】多くの質問も併せて、西田議員が単に反対のための反対をしているのではなく、大川市のことを考えている、反対派と言うより良識派の議員だと言うことが伝わる。
⑥<最後に>
市場調査や調査の予算決定から始まり、そしていつの間にか決まったことと言われる「大川の駅」。
「大川の駅」は、とうとう実施計画まで来てしまいました。
大川市民の中には、「まだ中止できる」と信じている人々がたくさんいらっしゃいます。
諦める訳にはいきません。
これからの人口減少の時代には、どの公共事業をするのか、しないのか、熟慮し選別しなければなりません。「大川の駅」を止める必要があります。動き出した公共事業を止めると言う決断を今、しなければなりません。以上で私の一般質問を終わります。
※この後の議長による西田議員に対しての発言があった。それについては、別途、言及する。
【まとめ】
「大川の駅」の「民間事業用地」は十分議論・説明されないまま、議論されたものとして進められているようであること。場所が大野島に決まったのは、たった1回の会議で決まったこと。大川市では、S40~50年代に整備された築30年を越える公共施設が半数以上を占めていることから、今後、大規模改修や建替えなどの大きな波の到来が予測されること。「大川の駅」事業の採算に不安があること。などが明らかにされた。
市民が不安に思うのが無理もない疑問点の多さである。市長の熱意は分かるが、採算がある事業なら、もう少しうまく市民への説明ができなかったか。
議員は言う。大川市の脆弱な財政状況では、現在の計画による「大川の駅」事業は、今、止めるべきだ、と。もっとその前にやることがあるのではないか、と。
市民の疑問に心を寄せ、よく研究された良識派による一般質問である。今からでもできる議論や説明ついては、当局は、曖昧なままにせず、真摯な取り組みと説明をしてほしい。そうでければ、市民の不安は収まらないのではないか。
こうして、大川の将来を決める「大川の駅」事業についての、令和5年9月議会も終了した。収穫はあった。
第22回に続く 2023.10.7 更新